◎後見人による居住用不動産処分の許可申立てのポイント◎

成年後見人が職務遂行をするについて、家庭裁判所の許可を要する事項は、この居住用不動産の処分に関するもののみであります。

 

居住用財産としては、現に居住の用に供している場合のみならず、今後、居住の用に供する見込みのある場合、過去に、本人の生活の本拠としての実態があった場合も含まれとされており、居住の有無の判断にあたっては、本人の住所のみなどの形式的な基準で判断するのではなく、これまでの本人の生活実態に鑑みて実質的に判断すべきである。(判例タイムズ1165号・86頁)

 

裁判所は、成年後見人からの申立てがあれば、申立てを許容するか却下するかについて審理を行います。

売却許可の申立ての場合に考慮される要素としては、①売却の必要性、②本人の生活・身上監護状況・本人の意向等の確認、③売却条件の相当性、④売買代金の入金・保管先、⑤親族(特に推定相続人)の処分に対する態度等であるとのことであります。(判例タイムズ1165号・90頁)認容・却下いずれの審判に対しても、不服申立てすることができない手続きになりますので、慎重な申立てが必要になろうかと思います。

 

家裁の許可のない処分の効果としたら処分行為の効力要件であるから、許可を欠く処分行為は無効になるという考え方と民法859条の3は代理権を制限するものにすぎず、家庭紙番所の許可の性質は効果帰属要件であるから、許可を欠く行為は無権代理であるとの考え方もあります。これの違いは、無権代理とみると、民法110条による表見代理適用の問題、民法116条による本人による追認可能性の問題が生じます。

それらを考えるとなんでも家裁にお伺いを立てておくことは重要ですね。

 

第859条の3【成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可】

成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

 

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