◎承継会社のみ債権者保護手続きをする会社分割◎

先日、会社吸収分割の登記が完了致しました。いわゆる、A社の一部門をB社が吸収するという登記です。

許認可が絡むナイーブな案件でしたので、無事完了できてホッとしております。

吸収分割会社の債務は、分割承継会社に引き継がれないというパターンでしたので、承継会社のみの債権者保護手続き(官報公告と個別催告)をしてもらったんですが、ここで、注意しなければならないのは、官報に掲載する際、債権者保護手続きをしなくてもいいとされている、吸収分割会社の方の決算公告がされていない場合、そこに一緒に決算公告をしなければ、承継会社の債権者保護手続きが満たされないという点です。

無対価、債務も引き継がれずという一見、分割会社の債権者には不利益がありそうな分割ではございましたが、法律は、そのまま、分割会社に請求ができるかどうかで判断するので、仕方ありません。

ただし、平成26年の会社法改正にて、承継会社に対しても、債権者として承継した財産の価額を限度として直接請求ができるようになっておりますが、詐害的会社分割は個別の判断をしていくほかないのでしょうね。。。。

参照条文 会社法

(株式会社を設立する新設分割の効力の発生等)

第764条 新設分割設立株式会社は、その成立の日に、新設分割計画の定めに従い、新設分割会社の権利義務を承継する。

2 前項の規定にかかわらず、第810条第1項第2号(第813条第2項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により異議を述べることができる新設分割会社の債権者(第810条第2項(第3号を除き、第813条第2項において準用する場合を含む。以下この項及び次項において同じ。)の各別の催告をしなければならないものに限る。次項において同じ。)が第810条第2項の各別の催告を受けなかった場合には、当該債権者は、新設分割計画において新設分割後に新設分割会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、新設分割会社に対して、新設分割会社が新設分割設立株式会社の成立の日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

3 第1項の規定にかかわらず、第810条第1項第2号の規定により異議を述べることができる新設分割会社の債権者が同条第2項の各別の催告を受けなかった場合には、当該債権者は、新設分割計画において新設分割後に新設分割設立株式会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、新設分割設立株式会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

4 前条に規定する場合には、新設分割会社は、新設分割設立株式会社の成立の日に、新設分割計画の定めに従い、同条第6号の株式の株主となる。

5 次の各号に掲げる場合には、新設分割会社は、新設分割設立株式会社の成立の日に、新設分割計画の定めに従い、当該各号に定める者となる。

一 前条第8号イに掲げる事項についての定めがある場合 同号イの社債の社債権者

二 前条第8号ロに掲げる事項についての定めがある場合 同号ロの新株予約権の新株予約権者

三 前条第8号ハに掲げる事項についての定めがある場合 同号ハの新株予約権付社債についての社債の社債権者及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者

6 二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をする場合における前2項の規定の適用については、第4項中「新設分割計画の定め」とあるのは「同条第7号に掲げる事項についての定め」と、前項中「新設分割計画の定め」とあるのは「前条第9号に掲げる事項についての定め」とする。

7 前条第10号に規定する場合には、新設分割設立株式会社の成立の日に、新設分割計画新株予約権は、消滅し、当該新設分割計画新株予約権の新株予約権者は、同条第11号に掲げる事項についての定めに従い、同条第10号ロの新設分割設立株式会社の新株予約権の新株予約権者となる。

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