◇遺言書について◇
ほうじ茶ラテブーム再来中の辻です
最近ちらちら向井理さん主演ドラマのCMを見かけるのですが、何やら遺産相続をめぐるドロドロとしたドラマのようですね
よくサスペンスドラマとかで遺産がどうとか遺言書がどうとか見聞きしますが、どれもすっごくお金持ちなお家の話が多くてあまり身近なものではありませんでした。
しかし遺言書について少し調べてみると、財産がたくさんあるから、遺産相続のもめごとを避けるため書く、というだけではないようです。
遺言書を残した方が良い場合
・財産のほとんどが土地や建物
・相続人が誰もいない
・子供がいないご夫婦
・孫に財産をあげたい
・お世話になった隣りの家の人に財産を残したい
・内縁の妻に財産を残したい
・再婚した
・財産を寄付したい などなど…..
またご家族や大切な方への思いや感謝、自分の教えや考え方、仕事の引き継ぎについてなど遺言者のあらゆる気持ちを残す手段としても大切な意味を持ちます。
遺言書の内容
基本的に、遺言書には何を書いても構いません。。
ただし、遺言の内容として法的効力が認められる事項は決められています。
遺言で指定できること(遺言事項)は以下のとおり。
(※遺言事項•••遺言書に記載することによって、法的に有効な意味を持つ事項のこと。)
●相続に関すること
・相続分の指定(法定相続分と異なる割合を決めること)
・遺産分割の方法の指定
・遺産分割の禁止(死後5年間は遺産分割を禁止できる)
・相続人の廃除または廃除の取消
・遺留分減殺方法の指定(遺留分を侵害する遺贈がある場合に減殺の順序や割合などを指定できる)
●財産に関すること
・遺贈
・寄付行為
・生命保険受取人の指定変更
・信託の設定(信託銀行などに財産を信託する旨の意思表示できる)など
●身分に関すること
・子の認知
・未成年者後見人・未成年者後見監督人の指定
●その他
・遺言執行者の指定およびその委託(遺言の内容を確実に実行してもらうための遺言執行者を指定できる)
・祭祀主宰者の指定
また、次にあげるような何らかの条件をつけた内容を記載することもできます。
□ 予備的遺言
(※予備的遺言…推定相続人や受遺者が遺言者より先に死んだ場合に備えた二次的遺言のこと。子供のいない夫婦などで、配偶者に全てを相続させるという夫婦相互遺言をし、予備的遺言を加えた文。)
【例】
遺言者は、その有する一切の財産を、○○○○に遺贈する。
ただし、上記の者が遺言者より先又は遺言者と同時に死亡した場合は、上記○○○○に遺贈するとした財産は、上記○○○○の長男××××に遺贈する。
□ 停止条件付遺贈(条件成就前に遡及する)
【例】
遺言者は、姪の○○○○が婚姻したときに、次の不動産を同人に遺贈する。同人は遺言者の死亡の日にさかのぼって次の不動産の所有権を取得する。
□ 停止条件付遺贈(条件成就前に遡及しない)
【例】
遺言者は、姪の○○○○が婚姻したときに、次の不動産を同人に遺贈する。
□ 解除条件付遺贈
(※記載された条件が満たされた時点で遺贈が終了する。)
【例】
遺言者は、下記不動産を○○○○に遺贈する。ただし、——–の場合は、上記遺贈は効力を失う。
□ 始期付遺贈
【例】
遺言者は、遺言者の死亡後5年を経過した時に、次の不動産を○○○○に遺贈する。
□ 終期付遺贈
【例】
遺言者は、遺言者の死亡後5年間だけ、次の不動産から生じる家賃収益全額を○○○○に遺贈する。
※ただし、上記はあくまで受遺者に対する条件であって、遺言者に関する条件はつけられないのが原則です。
例えば、
「遺言者が、この遺言書作成後に結婚をした場合は、○○に寄付するとした財産を全て妻に相続させる。」
といった記載は×。
遺言書作成前に確認しておくべきこと
①相続財産を確認する。
自分の持っている不動産や預貯金、現金、貴金属などの全てについて、必要な資料を収集し、相続財産目録を作成しておく。また、財産目録には財産がどれだけあるかだけでなく、どこにあるかも書いておくのが望ましい。
②推定相続人を確認する。
戸籍などを集め、相続人の判定をしておく。
③遺留分を計算し、確認しておく。
法定相続人がいる場合、遺留分についても計算しておく。相続人がいなければ必要なし。
(※遺留分•••法定相続人に残さなければならない最小限の相続分のこと。遺言者の親、祖父母、配偶者、子に認められる。兄弟姉妹にはない。)
④財産を残したい人のリストを作成しておく。
ある程度財産を確定できたら、それらの財産を誰に、何のために(なぜ)、どれだけ残したいかを考えておく。財産を渡したい人や寄付したい団体などがある場合は、その相手の資料を集めておく。(住所や名称など)
⑤遺言執行者を決めておく。
遺言執行者とは、遺言者の死亡後、遺言書に記載されている内容を実現してくれる人のこと。遺言執行者は預貯金の引き出しや不動産の相続登記など、遺言の執行に必要な一切の権利を持ち、単独で相続手続きをすることができるので、遺言書で遺言執行人を指定しておくとあらゆるトラブルの防止になる。
⑥その他、遺言書に記載しておきたいことを考えておく。
.お葬式やお墓について(お寺などへの確認も含め)
.寄付をしたい場合は寄付先への確認
.ペットのお世話について
.遺言書の内容についての説明、メッセージ•••etc…
遺言書作成に必要な書類(基本)
・遺言者の実印、印鑑証明書
・遺言者と相続人との続き柄を表す戸籍謄本
・相続人以外の人に遺贈する場合はその人の住民票など
・団体などに寄付したい場合はその団体の正式名称や住所など分かる資料
・預貯金、株式、金融資産などの資料、メモ(財産目録)
・証人の住民票と認印など
・通帳のコピー
・不動産がある場合は登記簿謄本、固定資産税評価証明書など
少し長くなりましたが、こう見てみると遺言書というものが少し身近に感じられるように思います。
これを読んでみて思い浮かんだ大切な人がいる、こうしたいなという希望があるようであれば、一度その思いを書いてみるのも良いかもしれませんね
【優司法書士法人関連サイト】
司法書士を京都・滋賀でお探しなら優司法書士法人
相続と不動産の名義変更NAVI
優遊ブログ