◎最近思う司法書士の仕事について◎

例年より早い梅雨入りということで、鬱陶しい天気が続いておりますが、雨の音も、ゆっくり聞いている分には、涼しげなのかもと思う今日この頃です。

 

優遊ブログは、2009年4月から続けておりますが、昨年リニューアルして以来、以前のふざけた、くだけた感じで書く記事が少なくなっておりましたので、今日は、気楽に思うがままに書こうと思います。

 

さて、最近思う司法書士の仕事について、3つの出来事を基に書いてみたいと思います。

 

出来事①

最高に良い仕事ができたと思う出来事がございました。

内容については、個別具体的な話のため、表現しにくいのですが、簡単に言うと、当方の提出した自筆証書遺言について、法務局として受け付けられないという回答があった件です。1度ではなく、2度そういう不受理回答をいただいた件です。

これに対して、考えたことは、その回答に納得できるか?以前の当方であれば、ちょっと食い下がり、2度も不受理回答であれば、諦めていたかもしれません。

しかし、今回は、自分の職責に照らし、この登記申請が受理されなければ、この仕事をやっている意味がないと思えたので、熱くなり、もう少し結論を下す時間をずらしてもらいました。

依頼者、今回であれば、遺言者の意思をしっかり読み解いて、これを素直に権利実現する、すなわち登記簿に反映することが当方の仕事です。当事務所は、そういう事務所でありたいと思いました。

 ただ、この点について、おそらく法務局側も職責に照らし、安全になされようと思われたはずです。

 

 では、法務局と当方との見解の相違をどう埋め合わせるか?

このことにだけ、集中しました。法務局の考える安全を絶対確保できる方法を証明できうる努力を惜しみなくしました。法務局に足を運び、たくさんの補強資料を作成、調査し、法務局で30分以上熱弁をふるわせて頂きました。絶対分かって下さると信じて。当然、その場での回答はありませんでしたが、再度、ご検討をいただく約束を取り付けました。

 

5日後・・・お電話をいただきまして、

結果は、あと一つ別の書類を用意することを当方の見解を通して下さいました。本当にありがとうございますという感じ。自分としては、資格を賭して説得活動をしていたので、失敗に終わったら、どうしようと内心びくびくしてました。

 

こんだけ食い下がらない司法書士も珍しかったのではないかと思いますが、その対応を何度もして頂いたご担当の方には、感謝しております。あの世に行かれた遺言された当のご本人も、遺言に遺された想いが叶えられそうなので、これで、ホッとなされていると信じております。

 

とても嬉しく、誇らしい仕事ができたと思います。

 

出来事②

先日、1年以上携わり、ようやく報酬付与の申立てをした成年後見案件の報酬付与の審判書が届きました。

自分が本人の家族であった場合に選択する方法で、決めていこうという方針に従って業務をこなしております。

法律家としてだけでは、決断できないことも当方にはありました。法律家としてならば、もっと楽な選択肢もあるとも思いますが、人として、やるだけのことは精一杯やっていると思っております。

生活保護受給に関しての行政への相談、悪徳金融業者からの借金督促に対しての再三の恫喝に対する対応、介護施設入所契約の手続き、投薬に関する医療に関する契約含め、様々なことを時間をかけてやってまいりました。ご本人の財産も少ないから仕方ないのですが、報酬金額は本当に微々たるものでした。介護施設の1か月分の費用よりもだいぶ少ないくらいです。

経営者としては、かけている時間と精神的苦痛を生じる業務から考えると、大赤字な仕事です。

でも、この仕事で、被後見人の生活は維持され、介護施設も、その親族も安心できる環境を作ることができるです。

責任も大きいけど、社会福祉に貢献している実感をひしひしと感じられました。

 

出来事③

法務省の行う長期相続登記等未了土地解消事業における、相続人調査と相続関係説明図の作成作業。かなりの負担感があるけれども、報酬金額は微々たるものです。経営者としては、費やした時間を考えると、むしろ、やればやるほど大赤字な仕事です。

でも、この仕事で、旧民法の知識を得ることができ、見たことがないような、古い登記原因や法令に触れ、その時代にタイムスリップをしているような錯覚に陥ることができます。コロナ禍で旅行に行きたくて、うずうずしている中、タイムトラベルできるんです。しかも、そのことで、所有者不明土地問題が解消され、公共事業や土地活用が進むことに繋がる社会貢献の一翼を担っている感覚を味わえます。

 

結論

司法書士の仕事は、お金じゃない。

心の持ちようで、前向きに良い仕事ができる。

 

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