@種類株式の登記事項@業務メモ
岩口です。
種類株式を登記するには基本的には定款で決めた内容どおりに申請書に記載すればよいのですが、定款に記載していても登記できない事項もあります。
その中でも、会社法第322条第2項の定め、会社法第199条第4項の定めがややこしい。
会社法第322条第2項は
「種類株式発行会社において、株式の併合、分割、無償割当て、株主割当て、合併等をする時に種類株主に損害を及ぼすおそれがある時は、その株主の種類株主総会の決議が必要だけれども、定款に定めたら不要です。」との規定。
会社法第199条第4項は
「種類株式発行会社において、第三者割り当てにより、譲渡制限ついた募集株式の発行をする時の募集事項の決定について、その発行する種類株式の既存株主の種類株主総会の決議が必要だけれども、定款に定めたら不要です。」との規定。
両方とも定めがあれば種類株式の内容として定款の記載事項となりますが、
法務省の通達によると
会社法第322条第2項の定め→登記できる
会社法第199条第4項の定め→登記できない
となります。
違いは何かというと、会社法第322条の方は他の種類株主等にも影響がある事項なので、登記が必要(第三者が知る必要がある)。
会社法第199条の方は、その種類株主しか影響のない事項なので、登記は不要(第三者が知る必要がない)と覚えればよいかと思います。
ややこしいですです
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会社法第199条(募集事項の決定)
1.株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
(1)募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)
(2)募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法
(3)金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額
(4)募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間4.種類株式発行会社において、第1項第1号の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
募集事項は、第1項の募集ごとに、均等に定めなければならない。会社法第322条(ある種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合の種類株主総会)
1.種類株式発行会社が次に掲げる行為をする場合において、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該行為は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
(1)次に掲げる事項についての定款の変更(第111条第一項又は第二項に規定するものを除く。)
イ 株式の種類の追加
ロ 株式の内容の変更
ハ 発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数の増加
(2)株式の併合又は株式の分割
(3)第185条に規定する株式無償割当て
(4)当該株式会社の株式を引き受ける者の募集(第202条第1項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
(5)当該株式会社の新株予約権を引き受ける者の募集(第241条第1項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
(6)第277条に規定する新株予約権無償割当て
(7)合併
(8)吸収分割
(9)吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継
(10)新設分割
(11)株式交換
(12)株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得
(13)株式移転
2.種類株式発行会社は、ある種類の株式の内容として、前項の規定による種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができる。