◇会社の登記懈怠と過料について◇
会社の登記事項(登記簿に記載されている事項)に変更があった場合には、2週間以内に管轄する法務局に対してその変更の登記を申請しなければなりません。(会社法第915条1項)
例えば、
・会社の名前が変わった
・本店の住所が変わった
・目的を変更した
・増資をした
・役員を追加した、減らした
・役員が死亡した
・役員が引っ越しをして住所が変わった
・役員が結婚をして苗字が変わった ……
などなどどれも身近によくある変化、変更ですが、これらがあった場合は必ず登記が必要となります
もしこのような変更が一切なかったとしても、株式会社の役員任期は最大で10年なので、株式会社の場合最低10年に1回は必ず登記手続をしなければならないことになりますね
登記事項に変更が生じた場合に、本当ならば2週間以内に登記をしなければいけないのに登記をしていないことを登記懈怠といいます。
変更の登記をしていなくても法務局からお知らせが来るわけではありません。
登記申請自体は、2週間を経過した後に申請したとしても、却下されるようなことはなく問題なく受理されるので、変更登記を完了することはできます。
が、しかし。
もしこの2週間の期限を守らずに登記申請をすると、100万円以下の過料の制裁を受ける可能性が出てきてしまいます
(会社法第976条にはこの過料に処すべき行為について長~く書かれています。)
ここでいう過料とは、するべき登記をしなかった者に対して科する制裁のための金銭罰のことで、罰金となんとなく似ていますが、罰金や科料(犯罪行為に関する刑事制裁)のような刑罰ではなく行政罰なので前科等はつきません。
どのような基準で金額が決まるのか、その相場は公表されていません
そもそも、数年間何も登記をしていなかったのに過料の制裁を受けなかった会社もあれば、もっと少ない期間だったのに過料の制裁を受けた会社があったりと様々で、2週間を超えて登記申請をした会社が全て過料の制裁を受けるわけではないようです。
ちなみに。
この過料の通知は法務局からではなく、裁判所から会社の代表者個人宛に届きます。
当然、登記は法務局へ申請するわけですが、その申請によって登記懈怠を見つけた登記官はその旨裁判所へ通知する決まりになっており(商業登記規則第118条)、通知を受けた裁判所が過料の制裁を与えるかどうか、与える場合その金額をいくらにするか決めて代表者へ通知書を送ります。
「会社法違反事件」というちょっとどきっとする事件名で「過料決定通知書」というものが届くようです。
代表者個人が収めることになるため、会社の経費とすることはできません。
法務局から裁判所を経由するので、登記申請をしてすぐに通知が来るのではなく数ヶ月遅れて通知が来るようです…
先日、過料決定通知書が届いたという会社の方からご質問があり、何故過料通知が来たのかはご説明できたのですが、そういえばどういう経緯でどのように通知書が届くのかまでは詳しくわかっていなかったので調べるよい機会になりました
私はこの通知書を実際には見たことがないのですが、やはり裁判所から事件と名前のついた書類が届くとびっくりしてしまいますよね。
過料という余分な費用を出さないためだけでなく、会社の信用のためまた正しい現況をしっかり公示するためにも、変更があったらきちんと期限内に登記を申請することが大切です
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