◇公開会社と非公開会社◇
先日、役員変更登記のご依頼があり、書類を作成していたのですが、謄本をよく見ると譲渡制限の規定がなく、「公開会社」でした
公開会社とは、発行する全部又は一部の株式について、譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社のことで、簡単に言うと、「定款に株式に関する譲渡制限の規定を設けていない会社」のことです。
つまり、1株でも譲渡制限を設けていない株式を発行していれば、公開会社ということになります。(会社法第2条5号)
(※特例有限会社には譲渡制限の定めがあるとみなされています。)
これに対して、
非公開会社とは、「発行する全部の株式について、定款に譲渡制限の規定を設けている会社」のことです。(会社法第2条17号)
さらに、公開会社と非公開会社では、株式を自由に譲渡できるかどうかの違いだけではなく、いくつかの点で違いがあるので、公開会社か非公開会社かの違いは重要なポイントといえます
公開会社の場合
譲渡制限規定・・・なし
取締役会・・・設置しなくてはならない
監査役・・・設置しなくてはならない
会計監査のみの監査役の設置・・・(業務監査+会計監査)
役員の任期・・・取締役が最長2年、監査役が最長4年
発行可能株式総数・・・発行済み株式の4倍まで
株式募集の決定機関・・・取締役会の決議
株主総会の招集通知期限・・・原則2週間以上前
株主ごとの各別の定め・・・
非公開会社の場合
譲渡制限規定・・・あり
取締役会・・・設置するかどうかは任意。(取締役1人からOK)
監査役・・・取締役会を設置する場合は必須。設置しない場合は任意。
会計監査のみの監査役の設置・・・。会計限定の定め。
役員の任期・・・10年まで任期伸長。
発行可能株式総数・・・発行済み株式の何倍でも。
株式募集の決定機関・・・株主総会の決議
株主総会の招集通知期限・・・原則1週間以上前
株主ごとの各別の定め・・・
etc…
などなど上記のように会社法で定められています
非公開会社であれば、取締役は1人以上いればよく、取締役会や監査役の設置は任意ですが、公開会社では株主総会のほか、取締役会と監査役の設置が絶対必要となります。取締役会を設置するには最低3人以上の取締役がいなくてはいけないので、公開会社では取締役が3人以上、監査役が1人以上必要となりますね
また、非公開会社の場合、役員の任期を10年まで伸ばせますが、公開会社の場合は原則2年(監査役4年)となるため、役員変更登記の回数が多くなります
現在、新しく設立されている株式会社のほとんどは非公開会社のようですが、昔からある株式会社などは公開会社のままの場合もあり、取締役会や監査役を廃止したい、監査役の業務を会計に限定したい、役員の任期を伸長したい・・・などの理由から、公開会社から非公開会社へ移行されることも少なくありません
会社の定款や謄本を見てみて、気になる点があるようでしたらお気軽にご相談くださいませ
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