@相続人等に対する株式の売渡しの請求@
(相続人等に対する売渡しの請求に関する定款の定め)
第174条 株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。
会社法が施行され、新たに規定された制度です。
非公開会社で、株主に相続が発生した場合に、定款で定めておけばその株式を会社が強制的に買取ることができ、相続によって誰ともわからない相続人に株主になられることを防ぐことが出来るというものです。
ただこの規定には問題点もあります。
株式の売り渡し請求決定の株主総会の特別決議では、相続される株式は議決権を行使することができません(会社法第175条第2項)。したがって残りの株主のみで決議することができ、少数株主による会社の乗っ取りが出来てしまう恐れがあります
例えば創業者が1万株、知人が1株を持っているとします。
創業者が亡くなった際には株式売り渡し請求は知人の持っている1株だけで決議できます。
すると創業者の持っていた1万株がすべて会社の自己株式になり、議決権のない株式になります。
知人は今後1株のみで、会社を支配することができるようになってしまいます
このような問題点を回避する為には、種類株式を活用したり、持株会社に株式を持たせたり等、生前に対策をすることが必要です。
なにせ会社法立案担当者の見解によれば「相続後の定款変更に基づき相続人に対して当該株式の売渡し請求をすることも可能である。」(相澤哲・葉玉匡美・郡谷大輔編著「論点解説 新・会社法千問の道標」)とのことです。
まだ会社法が施行されて間もなく判例等も充実していない現状ですが、今後このような問題も多々発生していく恐れがあります。
考えられるリスクはすべて取り除いておくことが大事だと思います。
詳しい対応策等を知りたい方はご連絡下さい