◇会社設立の準備~登記完了 まとめ◇
これまでのブログで、会社設立に関して何度かお話しておりますが、今回は、改めて会社設立の準備~登記完了までの流れ、必要書類、事前準備についてまとめてみたいと思います☝
株式会社設立の準備~登記完了までの全体的な流れは大体以下のとおりです。
(なお、発起人のみが会社の出資者となる発起設立がほとんどだと思いますので、発起設立の場合について見ていきたいと思います。)
~流れ~
①会社の基本的な事項の決定
②印鑑証明書の取得・会社のご印鑑・ゴム印等の注文
③定款作成・登記書類作成
④公証役場での定款認証、
⑤資本金の払込み作業
⑥登記書類への押印
⑦登記申請・設立完了
~ご準備いただく主な書類等~
- 会社実印(②参照)
- 取締役等の役員に就任する方の個人の実印
- 印鑑証明書(発起人・役員 ※発行後3か月以内のもの)(②参照)
- 資本金(⑤参照)
- 資本金を払い込みする通帳(⑤参照)
- 本人確認資料(免許証等の顔写真付きのもの)
では、①~⑦までを順番に見ていきます💡
①会社の基本的な事項の決定
・会社の商号(会社の名前)
・本店所在地(会社の場所)
・事業目的(会社でどのようなことをするか)
・資本金の額
・発行可能株式総数
・事業年度(決算期)
・発起人(出資者)
・役員の構成(代表者や取締役等)
まず、事前準備として、これらの会社の基本的な事項を決定する必要があります。
基本的に、名前や目的等は自由に決めることができ、他の会社と「同一の所在場所における同一の商号」でない限り登記申請は受理されますが、不正の目的をもってほかの会社と誤認させるような商号を使用することは不正競争防止法に抵触することとなるので注意が必要です⚠
事業目的については、こんなことがしたい、こんなことを想定しているという大まかな内容をお教えいただければ、当事務所で文案をご提案させていただくことも可能です!
この①の段階で決める事項がその後の手続きにも大きく関わってくる大事な事項であり、一番時間がかかる部分かもしれません。
②印鑑証明書の取得・会社のご印鑑・ゴム印等の注文
①の会社の内容の決定と並行して、発起人及び役員となる全員の印鑑証明書を準備します。発起人が取締役等の役員を兼任する場合には、2通の印鑑証明書を用意します。
また、会社名・会社本店所在地が決定した段階で、会社のご印鑑を準備していただくと後の手続きがスムーズになります。
ご用意いただく印鑑は、
「代表者印(会社実印)」・「銀行印」・「ゴム印」の最低3種類です。
最近は一週間もかからず完成するところもようですが、印鑑ができあがるまでに時間がかかるケースもあるようなので、余裕をもって、号・本店所在地が決まった段階で注文しておくと安心です☆
③定款作成・登記書類作成
株式会社を設立するには、会社の基本原則となる「定款」を作成する必要があります。
定款を作成し、管轄の公証役場において認証を受け、定款認証後に、管轄の法務局で設立登記を申請します。
①で決めた内容を反映していきます。定款は、会社の基本となる根本規則なので、会社の設立書類の中で最も重要な書類であるといえます。
①で決定する事項のうち、「目的」・「商号」・「本店の所在地」・「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」・「発起人の氏名または名称及び住所」・発行可能株式総数の6つは絶対的記載事項というもので、「記載していなければ定款自体が無効になる事項」です。
絶対的記載事項のほか、相対的記載事項や任意的記載事項というものもあります。
▼相対的記載事項とは、「定款に記載しなくても定款自体の効力は有効だけど、定款に定めがないと、その事項の効力は認められない」ものをいいます。
(例:株式の譲渡制限に関する定め、株券発行の定め・・・etc)
▼任意的記載事項とは、絶対的記載事項・相対的記載事項のほか、公序良俗または会社の本質に反しない内容で定めることができるものをいいます。任意的記載事項は諸規則のようなもので、定款に記載していなくても定款の効力そのものには影響しません。
(例:事業年度、役員の員数、報酬・・・etc)
ただし、これらも一度定款に記載してしまうと変更があった場合は、株主総会の特別決議が必要になります。
以上をヒアリングさせていただいた上で、当事務所にて定款案及び登記申請に必要なその他の登記書類を作成していきます。
④公証役場での定款認証
③で定款が作成できたら、設立する会社の本店所在地を管轄する公証役場で定款認証作業を行います。
なお、定款認証に会社の代表者等が同席する必要はありません。司法書士のみで完了します。
⑤資本金の払込み作業
基本的に、資本金の払込み作業は、定款認証の後にすることになります。
~資本金の払込み作業の手順~
▶STEP1:発起人個人名義の口座(通帳)を用意する
→資本金の払込み作業をするために用意するのは、「発起人個人の銀行口座」です。
会社の設立手続なので会社の口座じゃないの?と思うかもしれませんが、資本金の払込みをする段階ではまだ会社は設立されていないので、会社の銀行口座は存在しないからです。
なお、新しく専用の銀行口座を作る必要はなく、発起人が現在使用しているもので問題ありません。
ちなみに会社設立後は会社の口座を作り、資本金を証明するための個人口座はこのタイミングでしか出番がないので、新たに口座を開く必要はないかと思います。
▶STEP2:資本金を該当の口座に振り込む
発起人が複数いる場合は、代表となる発起人の口座に振り込みをします。
この場合、預け入れではなく、資本金を払い込んだ発起人の名前・金額が通帳に記載されるように振り込みで行う必要があります。
発起人が1人だけの場合は預け入れでも問題ありませんが、払い込む作業=振り込みor入金の作業が必要となります。
どういうことかというと・・・
例えば、資本金が100万円の会社を設立する場合で、発起人の口座に既に100万円の残高があったとしても、その100万円を一度出金して、もう一度もとの口座に入金する必要があるということで、「この100万円を会社の資本金として払込みましたよ」ということを明確にするためです。
▶STEP3:通帳をコピーする
通帳のある金融機関の場合、発起人が資本金を払い込んだら、通帳記帳をして、以下のページをコピーします。
・通帳の表紙
・表紙の裏(氏名、支店名、口座番号等が記載されているページ)
・払い込まれた資本金の記載がある該当ページ
▼ネット銀行のように紙の通帳がない場合はどうすればよい?
⇒Web上の通帳でも問題なく払込証明書として登記の添付書類にすることができます。
通帳のないネット銀行の場合は、入出金明細のわかるパソコンやスマートフォンの画面を印刷もしくはスクリーンショットし、PDFや画像ファイルとして印刷をするという方法で添付書類とすることができます。
つまり、払込が正式に行われたことが証明できれば、登記申請は問題なく受理されます。
▼通帳の代わりに印刷するべき内容4つ
ネット銀行の場合、銀行ごとにホームページ内のWeb通帳の表示が違うので、どこをどのようにコピーするかは決められていません。
なので、払込証明書として必要事項が記載されている部分を印刷することになります。
証明に必要な事項は以下の4つです。
✓払込先金融機関名(どこの)
✓口座名義人名(誰の)
✓振込日(いつ)
✓振込金額(いくら)
つまり、「どこの銀行」の、「誰の口座」に「いつ」、「いくら」支払ったかが重要ということになります。
なお、「誰が」振り込んだかはあまり重要ではなく、発起人が複数人いる場合、1人が全員分の払込金を預かってまとめて振り込んでも問題ありません。ただし、口座は原則代表発起人の口座になります。
以上の情報がすべて載っていれば1ページでOKで、もしバラバラのページにまたがって記載されていれば、すべてのページを印刷する必要があります。
▶STEP4:払込証明書と通帳のコピーを一緒に綴じる
ここまでくれば、あとは「払い込みがあったことを証する書面」にホッチキスで合綴して押印するだけです。「払込みがあったことを証する書面」は登記書類として当事務所で作成するので、STEP2・STEP3までを準備していただければ大丈夫です!
⑥登記書類への押印
当事務所が作成した書類にご押印をいただきます。大体、④~⑥は同じタイミングになります。
ここまでくれば、あとは⑦の管轄の法務局への申請でフィニッシュです★
⑦登記申請・設立完了
登記申請日が株式会社の設立日になります。なお、法務局は平日しか開庁していないため、土日祝日を設立日とすることはできません。
~登記申請から登記完了までの日数~
これまで、設立登記が完了するまでには1週間程度かかることもありましたが、平成30年3月12日(月)から始まったファストトラック化により、原則申請の受付日の翌日(オンライン申請において別送書類がある場合には書面の全部が登記所に到達した日の翌日)から起算して3執務日目までに完了するようになりました。
なお、申請件数が多い時期は上記の流れより時間がかかることがあります。
詳しくは法務省のHPをご参照ください⇒法務省HP「ファストトラック化」について
~設立完了~
登記が完了したら会社の「履歴事項全部証明書」及び「印鑑証明書」を取得し、登記事項に間違い等がないかを確認した後、お預かりしていた書類とともにお返しいたします。
以上が会社設立登記の流れ、内容になります。
会社設立のためには、決めなければいけないことや事前にしなければいけないこと、準備しなければならないものなどがいくつもありますが、あらかじめ全体の流れを把握できていれば、効率よく手続きを進めることができるかと思います。
会社設立をお考えの際は、お気軽にご相談くださいませ✿
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