◎片親の養子は半血兄弟なのか◎
悩ましい相続関係説明図に出会うことがございます。
父・甲-母・乙を同じくする兄弟丙さん丁さん、母・乙さん死亡後に後妻戊さんと甲は婚姻。その後甲が死亡後、戊が、丙・丁・己・庚と養子縁組。己・庚は、丁の子供。
丙死亡の時の相続人は誰で、法定相続分はどんだけになるのか?丙には配偶者も、子供もいない。
法定相続分を計算するときには、特に注意を要します。
法曹会昭和29年4月1日決議では、「被相続人の実母の死亡後に実父と縁組をした養子の相続分は、被相続人と父母を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1である」とされ、昭和32年6月27日民事甲第1119号民事局長回答では、「養子が死亡した場合に、その養子に実父母の双方を同じくする兄Aと、養父とその妻(養母ではない)との間に生れた弟Bがあるときは、ABとも相続人となるが、その相続分はAが3分の2、Bが3分の1である」とされる。
ここで、上記法曹会決議の内容を検討すると、当該養子は被相続人の実父との養子縁組により、被相続人の実父と親子関係が成立し、また、被相続人と兄弟姉妹関係が成立しているが、被相続人の実母とは養子縁組ができなかったので、被相続人の実母とは親子関係が成立していない。そうすると、被相続人と当該養子は父のみを同じくしていることになるから、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹に当たるといえ、したがって、当該養子の相続分は、被相続人と父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1であるとされたものと考えられる。
養子縁組の日付、死亡の日付により、相続人・相続分が大きく変わることもございます。
責任重大で、大変な作業です。