◇自筆証書遺言の保管制度について①◇

梅雨ですね☂
雨の日に家の中で本を読んだりするのは独特の暗さがあって好きですが、雨の日に外に出るのは好きじゃないので、早く過ぎてほしいです⚡

さて、コロナの影響もあり、最近ではオンライン申請、オンライン面談、オンライン相談、また公証役場でのオンライン定款認証などが多く見られるようになってきました。
当事務所では、今日も一件、オンラインで他府県の公証人とオンライン定款認証をしました。

さらに大きな変化といえば、法務局での「自筆証書遺言保管制度」が始まることですね。
令和2年7月10日より開始されるので、もうすぐです🌼
この制度は、遺言者本人が遺言書の全文、日付及び氏名を自筆している自筆証書遺言について、法務局(遺言書保管所)へ保管の申請をすれば、遺言書を保管してくれる制度です。

※自筆証書遺言は、従来は全て自筆によるものとされていましたが、平成31年1月より、「財産目録」については、パソコンで作成したものに署名・捺印をしたものや、通帳などのコピーに署名・捺印したものも認められるようになりました。

遺言書の保管申請手続きは、事前予約が必要で、令和2年7月1日より予約ができるようになるそうです。

この申請をすれば、遺言書の原本及びデータを長期間適正に管理し、必要があれば以下の⑴~⑸に対応してくれます☝

遺言書の閲覧(遺言者が預けた遺言書を見る)
遺言の撤回(遺言者が預けた遺言書を返してもらう)
「遺言書保管事実証明書」の請求(相続人等が遺言書が預けられているかを確認する)
「遺言情報証明書」の請求(相続人等が遺言書の内容の証明書を取得する)
遺言書の閲覧(相続人等が遺言書を見る)
 ※⑴~⑵は遺言者からの手続き。
 ※⑶~⑸は遺言者が亡くなっている場合に手続き可能。
 ※すべて、請求には手数料を納める必要あり。

この保管制度によって、遺言者本人の死亡後、相続人等に遺言書を発見してもらえなかったり、誰かに隠されてしまう、改ざんされてしまう心配もなくなります◎

さらに、⑴~⑸以外に、この保管制度の大きな特徴として、次の2つの点があげられます。

#1:裁判所での検認手続が不要
#2:法務局による通知制度  

#1 検認手続が不要
通常、自筆証書遺言の場合、保管者は、相続の開始を知った後遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出して、その検認を請求しなければなりません。この検認手続は、遺言書の存在を裁判所で明らかにすることによって、それ以降の偽造や変造を防止するための手続きなのですが、裁判所に対する手続きなので、どうしても手間と時間がかかってしまいます。しかしこの保管制度を利用した場合は、法務局が遺言書を保管しているので、偽造・変造のおそれがないため、検認手続きが不要になります。

#2 法務局による2つの通知制度
相続人等のどなたかが遺言書情報証明書の交付を受けたり、遺言書の閲覧をした場合は、そのほかの全ての相続人、受遺者、遺言執行者等へ法務局から「遺言書が保管されている旨」が通知されます(法務局における遺言書の保管等に関する法律第9条第5項)。
なお、この通知は遺言の内容ではなく「遺言を保管している事実のみ」の通知なので、遺言書の内容が通知されるわけではありません
②遺言書の保管の申請の時に「死亡時の通知の申出」をすることができます。この申出をしておくと、遺言者が死亡したときに、法務局から、あらかじめ指定しておいた相続人、受遺者、遺言執行者などのうち1名のみに対して、遺言書が保管されている旨の通知がされます(遺言書保管事務取扱手続準則第19条)。
ただし、これに関しては、現代段階では法務局がどうやって遺言者の死亡の事実を知るのか?という問題もあります。
今後の課題として、遺言保管制度を利用している方の死亡届が市区町村に提出された場合、法務局と自治体とで連携するような整備が検討されているところのようです。

いずれにしても、この通知制度によって、遺言者本人が死亡した後に、誰かが相続手続きに着手すれば、その旨が他の相続人等にも通知されることにより明らかになるため、明瞭で公平な相続手続きが期待できますね★

・・・ちょっと長くなってしまったので、保管申請の手続き等は引き続き次の時にお話したいと思います✏

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