◇後見制度支援預金制度◇
後見センターでは、平成24年2月から、「後見制度支援信託」の利用が進められてきていましたが、平成30年6月から、この後見制度支援信託に加えて、「後見制度支援預金」という制度も始まっています。
後見制度支援信託とは
後見制度支援預金よりも早くから開始している後見制度支援信託という制度ですが、これは被後見人の財産のうち、通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのことです。信託財産の払い戻しや信託契約を解約したりする際に、事前に裁判所が発行する「指示書」が必要になります。信託財産は、元本が保証され、預金保険制度の保護対象にもなります。
後見制度支援預金とは
基本は後見制度支援信託と同じで、被後見人の財産のうち、通常使用しない金銭を「後見制度支援預金」として別の口座で管理する仕組みのことです。本人の財産を、日常的に使用する金銭に関しては成年後見人が管理し、普段使わない金銭についてはその都度裁判所が関与することで、本人の財産が適切に管理されるようになります。
そのため、後見制度支援預金では、通常の預金とは異なり、口座の開設や解約、お金の出し入れをするには、予め裁判所が発行する「指示書」が必要となります。
後見支援信託も後見制度支援預金も、成年後見と未成年後見の場合に利用することができますが、保佐・補助・任意後見では利用することができません
なお、後見支援預金も後見制度支援信託も同じですが、預金を引き出すには家庭裁判所の許可(指示書)が必要となるため、預金の引き出しはキャッシュカードでは行えず、必ず窓口で行う必要があります。
後見制度支援預金と後見制度支援信託の違いは?
専門職後見人の選任が必要かどうか
後見制度支援信託では、最初に専門職後見人(弁護士や司法書士など)が後見制度支援信託の利用の適否の判断し、裁判所の指示を受けて信託契約を締結します。
これに対して、後見制度支援預金の場合は専門職後見人を選任するかどうかは裁判所が判断するため、専門職後見人が選任されなければ、親族後見人のみで手続が開始されることもあります。
預入金額の下限があるかどうか
後見制度支援預金も後見制度支援信託も金銭に限られますが、後見制度信託の場合は最低受託額が定められている信託銀行があり、信託銀行によっては最低預入金額が1000万円以上と定められている金融機関もあります。これに対して、後見制度支援預金の場合は最低預入の制限がないので、誰でも利用しやすい制度となっています。
費用について
後見制度支援信託では、信託銀行に対する信託報酬や専門職後見人に対する報酬が発生しますが、後見制度支援預金では、口座開設費用等の手数料は発生しないので、基本的には普通預金口座と同様に無料で利用できます。また、専門職後見人が選任されなければその報酬も発生しないので、費用を一切支払うことなく後見支援預金を利用できる場合もあります。
取扱金融機関について
後見制度支援信託は、信託銀行等が取り扱っていますが、後見制度支援預金は信用金庫や信用組合が取り扱っています。
後見支援預金の特徴は?
以上をまとめると・・
専門職後見人の選任が必須ではないため、選任されなければ報酬が不要
預金の払い戻しについて、家庭裁判所の「指示書」が必要となるため、財産管理の透明性が増し、他の親族等の理解を得られやすくなる
預入金額の下限がないため、誰でも利用しやすい
後見支援預金を提供する信用金庫や信用組合は地方に多数あるため、身近に支店があり日常的に使いやすい
信用金庫や信用組合に対して開設時にかかる口座開設手数料や口座管理費等が不要
後見人が手元で管理する財産が少なくなるので、家庭裁判所に対する後見事務報告の負担が軽減される
ちなみに、後見制度支援信託を利用するか、後見制度支援預金にするかの明確な判断基準のようなものはないようです。ただ、管理する財産の大小で判断されるケースが多いよううです
後見制度支援預金制度はこれまでの制度より利用しやすい制度なので、該当される方は利用を考えられてもよいかもしれません
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