@業務メモ@ 入夫婚姻
入夫婚姻とは旧民法の規定で夫が女戸主の妻の家に入る婚姻のことです。(旧民法788条2項)また、女戸主が戸内(同じ家)の男子と結婚することも入夫婚姻と取り扱われていました。
婿養子が妻が法定推定家督相続人である場合に夫が妻の家に入ることに対して、入夫婚姻は、妻が女戸主である場合に夫が妻の家に入ることです。つまり入夫婚姻は婚姻のみで、養子縁組は婚姻+縁組ということです。。
入夫婚姻は養子縁組ではないので注意すること!
<入夫婚姻の戸籍上の表示例>
明治31年戸籍法施行当時
入夫たる戸主の戸主ト為リタル原因及年月日欄
「入夫婚姻ニ因リ明治OO年O月O日戸主ト為ル同日届出同日受附㊞」
大正3年戸籍法施行当時
入夫たる戸主の事項欄
「O郡O村O番地戸主OOO男大正O年O月O日OOト入夫婚姻届出同日入籍戸主ト為ル㊞」
入夫が戸主とならない場合
女戸主の事項欄
「入夫と婚姻した旨」
<入夫婚姻による家督相続開始について>
入夫婚姻は家督相続開始原因になる場合とならない場合があります。
明治31年の旧民法施行前は入夫が当然に戸主となるのが慣例で家督相続が開始していたようです。
しかし、旧民法施行後は婚姻の時に入夫が戸主とならない旨の意思表示がされないと、入夫が新たな戸主となるものとされていました。(旧民法736条)
ところが、大正3年の戸籍法改正以降では、入夫婚姻の届書に夫が戸主となる旨の記載がなければ、妻が女戸主のままである扱いに変わりました。
大正3年の前後で戸主の決まり方が違うので注意!
つまり、旧民法施行以後(明治31年以降)は入夫婚姻による家督相続の開始は全ての場合に発生するものではありません。
また、旧民法施行の前後にかかわらず、入夫戸主が離婚した場合、当然に前女戸主に復帰するのではなく、直系卑属がいる場合は通常の家督相続の順となります。
昭和22年5月3日の日本国憲法施行にともない、家制度がなくなり、入夫婚姻もなくなりましたが、昭和22年5月2日以前の戸籍を調査する時には入夫婚姻がないか気をつけましょう。
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