@非嫡出子(婚外子)の相続分が嫡出子の2分の1とする民法の規定は違憲であるとの最高裁決定を受けての登記実務@
平成25年9月4日、最高裁によって民法第900条第4項ただし書の規定のうち、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする部分(以下「当該規定」)は憲法違反であるとの決定がありました。(最高裁判平成24年(ク)第984号、第985号)
この決定により民法の一部を改正する法律(平成25年法律第94号)が平成25年12月11日に施行され、当該規定が民法から削除されました。
これに伴う不動産登記の取り扱いは以下のとおりになります。
平成25年9月5日以降に開始した相続を原因とする登記
改正新民法の規定を適用して非嫡出子と嫡出子の法定相続分を同等であるものとして処理する。
平成13年7月1日から平成25年9月4日までに開始した相続を原因とする登記
最高裁決定では「本件規定は、遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1項に違反していたものというべきである」旨が判示されており、平成13年7月以降は当該規定が無効となりました。
ただ、「本件規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判、遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係には影響を及ぼすものではない」と判示されており、平成13年7月以降であっても、遺産分割等によって確定的となった相続には影響がないこととなりました。
登記実務の取扱いとしては
①平成13年7月1日以降に開始した相続における法定相続による登記を申請する場合には非嫡出子と嫡出子の相続分を同等であるものとして処理する。
②平成13年7月1日以降に開始した相続において法定相続以外の遺言や遺産分割等に基づく登記を申請する場合には当該内容に従って処理する。
③平成13年7月1日以降に開始した相続における法定相続によってすでに登記名義人となっている登記の更正登記等①、②以外の申請については登記原因に応じて、確定的な法律関係となっているか等を判断して、処理する。
平成13年6月30日以前に開始した相続を原因とする登記
旧民法が適用されるので、非嫡出子の法定相続分は2分の1のまま。
となりました。
ややこしいですが、平成13年7月~平成25年9月4日の間に開始した相続でまだ登記をしていない場合には新民法の規定を適用すればよく、既に相続登記をしている場合には、登記原因によって判断されるようです。
参照
民法の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記等の事務の取扱いについて(通達)
(平成25年12月11日付法務省民二第781号)
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