◎法定相続登記後の遺産分割調停による登記◎
法定相続人ABCで法定相続登記がされている場合、B単独名義に遺産分割を原因とするA、C持分全部移転登記をするのに、『別紙遺産目録記載の土地及び建物はBが取得する。』との調停調書だけで移転登記はできるの?とのある弁護士さんからのご質問。
登記原因証明情報にはなることは間違いございません。
そういう意味では登記できます。
しかし、法定相続登記後は、登記義務者A,Cと登記権利者Bとの共同申請が原則になります。ということは、
『A及びCは、Bに対し、別紙遺産目録記載の土地及び建物につき、本日付け遺産文割を原因とする各自の持分全部移転登記手続をする。』
との条項が入っていない場合、登記原因証明情報としては使えるが、結局、登記義務者ACの実印・印鑑証明書・登記識別情報若しくは登記済証が必要になると考える。
法定相続登記前の不動産であれば、遺産分割協議書代わりに調停調書が使える為、文言的には冒頭の内容だけで足りると考えるが、法定相続登記後の遺産分割調停調書の時は、注意を要する。
判決とかなら、『~登記手続きをせよ』との文言でないと意思擬制にならないのは分かるけど、遺産分割の調停を申立てて、ある財産を取得するとの条項が入ったら、それでいけるんちゃうの?!との質問ではあったが、回答しながら、深く理解することができました