◇抵当権と国税ではどちらが優先される?◇

抵当権者とその他債権者との地位の優劣については、対抗要件である登記の先後によって決まる、というのが基本的な考え方かと思います。

例えば、無担保債権者と抵当権者であれば、対抗要件としての登記がされていれば当然に抵当権者が無担保債権者に優先しますし、複数の抵当権者間であればその登記の先後によって優先順位が決まります。

では、国税等と抵当権の場合はどちらが優先されるでしょうか?

実は、国税等の租税債権は、差押えの登記がなくても登記済みの他の抵当権等に対抗できます☝

国税徴収法第8条では、
国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定がある場合を除き、すべての公課その他の債権に先だつて徴収する。」とされています。

(なおここでいう公課とは、国税徴収法第2条5号で「滞納処分の例により徴収することができる債権のうち国税(その滞納処分費を含む。以下同じ。)及び地方税以外のものをいう。」と定義されています。)

つまり、国税は他の債権に対して優先して納税者の財産から徴収される、というのが日本における原則ということになります。(国税優先の原則)

しかし。
それでも抵当権の方が優先される場合もあります⚠

国税徴収法第16条では、
納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に抵当権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その抵当権により担保される債権に次いで徴収する。」と定められています。

要するに、抵当権と国税の場合、抵当権設定時期と納税の法定納期限のどちらの日が早いかによって優先される方が決まります☝

なお、設定時期というのは設定契約の日ではなく設定登記の日で判断し、法定納期限とは租税公課を本来納付すべき期限のことを言います。

抵当権設定者が抵当権設定日以前に国税等を滞納していたような場合、登記簿上には記載されていないのに納税の方が優先することになってしまうため、滞納税金がないか確認をした上で融資をしなければなりませんが、その優劣を知りたい場合は法定納期限を調べる必要があるということになります⚠

    ⦿抵当権設定日の方が先→抵当権が優先される
    ⦿抵当権設定日と法定納期限が同じ→抵当権が優先される
    ⦿法定納期限が先→国税が優先される

第16条で「法定納期限等以前にその財産上に抵当権を設定しているとき」とあるので、その日も含むことになるので同日の場合も抵当権が優先されることになるのですね!

しっかり読み込まないといけませんね✍
私はこの先後について実務で経験するまで知りませんでした・・
まだまだまだまだ修行が足りません✹.

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