◇利益相反議事録◇
最近立て続けに利益相反議事録を作成する機会がありました。
議事録を作成していて、たまにごっちゃになることがあるので、簡単にまとめてみます
例えば、株式会社の代表取締役が会社に対して不動産を売却する場合。
この場合、不動産を売る側も買う側も同じ人物が印鑑を押すことになるため、この代表者個人に有利となるような取引が1人でできてしまうことになります
このように1人の人物が利害の対立する取引を行おうとする場合、取引の公平性を保全するために法律ではそれぞれ規定を定めています。
たとえば会社法第356条では、
「取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
① 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
② 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
③ 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
2 民法第108条の規定は、前項の承認を受けた同項第2号の取引については、適用しない。」と規定されています。
今回お話しているのは②の場合にあたります。
ここで作成する議事録が利益相反議事録です
決議機関は、
取締役会非設置会社の場合:株主総会の普通決議
取締役会設置会社:取締役会
となり、株主総会と取締役会ではいくつか異なる点があります。
異なる点①•••利害関係人が決議に参加できるか
取締役会の場合•••利益相反行為について承認してもらう取締役は決議に参加できず、定足数にも数えられません。
(ex:取締役A、B、Cの3名の会社でAの行為について承認するのであれば、Aを除いた2名となりその過半数で決議することになります。)
利害関係人が議長となることもできません。(会社法第369条2項)
これに対して、
株主総会の場合•••承認してもらう取締役が株主であっても、決議に参加して議決権を行使することができます。さらには利害関係人である取締役が株主総会の議長となることもできます。
異なる点②•••議事録に必要な記名押印者
取締役会の場合•••出席した取締役全員が議事録に記名押印しなければならず、法務局に印鑑届出している代表取締役はその届出印(会社実印)、それ以外の取締役は市区町村長の作成した印鑑証明書の印鑑(個人実印)を押印していずれも印鑑証明書の添付が必要となります。
これに対して、
株主総会の場合•••議事録作成者が押印しなければならず、作成者が代表取締役の場合は法務局に届出している届出印(会社実印)を、代表者でない場合は個人実印を押印の上、それぞれ印鑑証明書を添付しなければなりません。
ただし、取締役会議事録と異なり議事録作成者以外で出席した取締役等については記名押印は不要となります。
ちなみに議事録に添付する印鑑証明書には有効期限は定められていませんが、原本還付はできません
承認を得ずにした利益相反行為は原則無効となってしまいます
そんなことのないように、しっかりお客様にご説明できるように気をつけたいと思います
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