@高齢者の意思確認@

最近、高齢者の自動車事故が相次ぎ、問題となっていますが、

登記申請についても高齢者であるならば登記意思の確認ということでしばしば悩みます。

登記申請は法律行為ですので、行為能力(単独で法律行為ができる能力)が必要になります。

認知症等で物事を判断する能力(事理弁識能力)が無くなってしまった場合には、行為能力が制限されるので、成年後見人を選任して後見人に法律行為を行ってもらうこととなります。
(この能力が不十分な場合には、保佐人、補助人です)

この「事理弁識能力があるかないか」について、日常生活において、誰がどう判断するのか、難しいところです。

医者が認知症と診断し、又要介護だからといって、当然に事理弁識能力がないとはなりません。

また診断を受けていない人でも事理弁識能力がない人もいます。

さらには体調の変化で時間帯によって事理弁識能力がある時とない時がある人もいます。

判例でもケースバイケースです。

後見人の申請をすれば、医者の診断書等から裁判官が判断してくれますが、登記申請に高齢者が来られた場合には、司法書士が判断することとなります。

登記申請における事理弁識能力とは、法律行為(etc.土地を売買する)と法律効果(etc.所有権が移る)を理解して、それに基づく登記申請を司法書士に委任することであると考えます。

しっかり面談をして登記意思を確認し、委任を受けれないと判断したら、毅然とした態度でお断りするしかないと思いますが、高齢者であるからといって、一律に事理弁識能力がないと判断しては、その方の行為能力を不当に制限することとなります。

正直なところ、高齢者の体調については詳しくない司法書士に、能力があるかどうかを判断させ不動産の得喪をいう重大な責任を負わすのは厳しいと感じます。

「行為能力があることの証明書」のような公的証明書を作成できるようにして、1ヵ月以内であれば行為能力があることとみなす、のような制度ができないかと思うこの頃です。

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