◇法定相続分で相続した後に遺産分割協議が成立した場合◇
先日、以前、相続登記をしたお客様からご連絡がありました。
通常、遺産分割協議が整い、合意に至ったらその遺産分割協議書の中で該当の不動産を取得されると決まった方に対して、「相続」を原因として所有権移転登記を申請します。
すると、被相続人名義になっていた不動産が、相続を原因として相続人名義へと変わります。
遺産分割協議の効力は、相続開始の時まで遡って発生する(民法第909条)ので、亡くなられてから1か月後に登記をしても、1年後に登記をしたとしても、被相続人が死亡した時にその所有権を承継したことになります。
この登記では、不動産を取得する相続人が単独で登記を申請することができます。
しかし、今回お電話があった方はその遺産分割協議をする前に、法定相続分の割合で共同相続の登記をしていた方でした。
既に、該当の不動産には相続を原因として法定相続人の方が名義人として登記されています。
では遺産分割協議をする前に法定相続分で相続登記がされていた場合どうなるでしょうか?
本来の登記手続で考えたとしたら、先にされている相続登記を抹消して、被相続人から遺産分割協議で決まった相続人へ相続登記をしなければいけないようにも思います。
しかし、登記先例をみると、今回のケースのような場合、
法定相続分でされた相続登記を抹消するのではなく、新たに遺産分割を原因として登記をすればよいとされています。
このケースでは、普通の相続登記とは異なる点がいくつかあります。