◎売却予定の遺産を相続登記する際の注意点◎
我々、不動産を取り扱う司法書士の業務に、税金的知識は不可欠です。
税理士さんが税金の専門家なので、具体的な税金の話はしませんが、一般的な税金の問題は、業務上、しょっちゅうぶつかります
今回は、遺産である不動産を売却して、売却代金を相続人で分ける際の注意点を書かせていただきます。
例えば、被相続人Aが死亡し、配偶者B・子供Cが相続人になるケースで、Aの遺産がBの居住する不動産であり、Cは別の場所に住んでいる場合、売却の前提として、B名義で相続登記する場合と、C名義で相続登記する場合、B・C名義で相続登記をする場合でどのような違いが出てくると思われますか?
居住用財産の3000万円特別控除の適用ができるかどうか大きく変わってくる問題です。
被相続人の取得金額が分からないような古くからの所有物件である場合、売買代金の5%を取得した金額とみなされます。
例えば、売却代金が1000万円の不動産であれば、50万円が取得金額で、950万円が売却益として譲渡所得税が課せられることになります。
そこで、前述の居住用財産の3000万円の特別控除が使えるかどうかで、税金が大きく変わってくるのです。
もし、遺産の居住者B名義にて相続登記をして売却したのであれば、3000万円の特別控除を使うことにより、売却益はないこととなり、税金も課せられないのに、遺産である不動産に居住していないC名義に相続登記をして、売却したことになると、3000万円の特別控除は使えないことになり、売却益に課税されることになります。
こういったケースでは、相続登記の段階で、誰の名義にするのが、一番よいかを検討することが必要になります。
安易に名義を決めて、あとでえらいこっちゃってことがないように、専門家への相談をお薦めします