◎特別受益証明書による相続登記◎
特別受益の制度は、生前贈与や遺贈により遺産の前渡しをした被相続人の意思を尊重しつつ、遺産の前渡しの実質を有する生前贈与や遺贈の持戻しをすることにより、法定相続分に修正を加え、もって共同相続人間の実質的衡平を図ろうとしたものです。
登記実務では、遺産分割や相続放棄手続きをせず、「私は、被相続人の死亡による相続につき、生計の資本として被相続人から、すでに相続分相当の財産の贈与を受けており、相続する相続分のないことを証明します。」との文面の特別受益証明書に実印・印鑑証明を添付することで、実質上の相続放棄をしたかのように、その他の共同相続人に不動産を名義変更させる場合もございます。
実際、生前に贈与を受けていたりして特別受益がある場合はよいのですが、ない場合は、その証明書の有効性について後日の争いの種になる可能性もあります。
また、未成年者の法定代理人として特別受益証明書を出すことにより、遺産分割における未成年者の特別代理人選任をすっ飛ばす手法にもなりかねません。
相続放棄ではありませんので、被相続人の債権者から請求があった場合、支払いに応じる義務も承継してしまいます。このことは遺産分割でも同じことですが・・・
注意したいものです
民法903条(特別受益者の相続分)
①共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻、養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前3条の規定によって算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除し、その残額を以てその者の相続分とする。
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