◇住民票の職権削除◇
先日、相続手続きのため、相続人のうちのお1人の戸籍の附票を取り寄せたところ、
「年月日記録 不現住により職権削除 年月日削除」と書かれていました。
戸籍や附票は結構見ていると思うのですが、こんな表記があるものは初めて見ました。
▼職権削除とは?
簡単に言うと、各自治体が住民の居住実態の調査を行い、事実に反する場合、その者の住民登録を職権で抹消するというものです。
え、勝手に抹消されるの?!
とびっくりされるかもしれませんが、もちろん、行政の機嫌を損ねたから「はい、削除」ということは許されません。
これは、特別な理由がある場合に限って認められている行政手続です。
職権削除をするには、しっかりとした実態調査がされる必要があります。
▼調査対象者となるのは?
次の①~⑧の場合です。
①法に基づく住民票異動事務を所管(以下「住民票所管」という。)する窓口の対応等で、住民票記載事項に疑義が生じた者
②他所管及び行政機関から、住民票記載事項に疑義があり照会があった者
③親族及び同居人から、不現住者である旨の申し出があった者
④近隣の住民等から、不現住者である旨の通報があった者
⑤発送した郵便物等が返戻され、不現住者の疑いがある者
⑥家屋の所有者又は家屋の管理人から、不現住者である旨の申し出があった者
⑦転出証明書を取得してから6ヶ月経過後においても、転出先の市区町村から転入通知が届かない者
⑧その他町長が特に調査の必要があると認める者
例えば、郵便物を送っても返ってきてしまう、そもそも空き家になっているなどなど届け出ている住民が実際には住んでいない疑いがある場合です。このような場合に、各自治体は現地に出向いて、住民が居住しているかの実態調査をすることがあります。
もちろん、自治体や職員の独自の判断で勝手に手続きされてしまわないよう、「住民基本台帳実態調査に係る事務取扱要領」、「住民票の職権削除に関する事務取扱規則」というものが制定されており、これに従って手続きを行います。
その中では、実態調査の調査や調査対象者についてだけでなく、期間や回数、調査員についてなどしっかり定められています。
▼住んでいないことがわかったら勝手に抹消されちゃう?
実態調査がされ、実際に居住していないと判断されても、何の連絡もなくすぐ削除されることはありません。
「適正申告の勧告」という期間があり、調査の結果に基づき、調査対象者を不現住者として確認したときは、当該不現住者に対して、「住民票適正申告書」を郵送し、実際に住んでいる住所地に住民票を移してくださいね、と勧告します。
転出・転居先不明の不現住者については、住民票適正申告勧告書が30日間公示されることになっています。
それでも勧告に従わなかった場合に、職権削除が行われます。
なお、職権削除が行われると、調査対象の不現住者に対して「職権削除通知書」により通知もされます。
こちらも転出・転居先が不明の不現住者に関しては、職権消除通知書が14日間公示されます。
「住所不定」という状態では、あらゆる行政サービスが受けられず、病院へ行こうにも保険の適用も受けられません。印鑑登録もできないため、印鑑証明書が必要となる手続きももちろんできません。
住民登録をすることは、法律で義務付けられています。
引っ越しなどで転居した場合、例え同じ市区町村内であっても、転居から14日以内には転居届を忘れずに提出しましょう◎
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