◇民法附則25条2項の規定による相続◇

我々の日々の業務の中でも件数の多いものとして、相続登記があります。

相続に関する手続きは、依頼者の方ごとに千差万別いろいろなパターンがあります。

そのため、案件ごとに重要なポイントを再確認したり新たな発見をすることも多々あります・・!

その中で最近あった、登記実務の中で重要なポイントとなる点を備忘録としていくつか書き記しておきたいと思います☝(今回はそのうちの1つです)

 

相続登記で注意しなければいけないケースの1つとして、

旧民法時代(明治31年7月16日~昭和22年5月2日)に相続が開始している場合があります。

旧民法時代(明治31年7月16日から昭和22年5月2日)の間に戸主の相続が発生した場合は、明治31年7月16日施行された民法(旧民法)が適用されることになります。

この旧民法では、戸主に相続が発生した場合は「家督相続制度」によって特定の家督相続人が全財産を単独で相続していました。

 

では、

Q:相続が開始したが、法定家督相続人がおらず、選定家督相続人を選定しなければならない場合において、その選定もせず、そのまま昭和22年5月2日を過ぎてしまった場合は、どうなるのか?

 

A新民法附則25条2項 を適用する。

 

⇨通常、戸主の相続が開始した場合は原則として旧民法を適用するところ、応急措置法(※)施行前に家督相続が開始し、家督相続人を新民法の施行後に選定しなければならない場合には、その相続については選定手続をとらずに新法の規定を適用するというものです。

戸主が死亡した場合、その死亡日に遡って新民法が適用されることから、家督相続ではなく新民法における相続になります。

(※)応急措置法・・・旧民法下での「家」を基盤とした相続制度が、戦後の憲法の規定に反することとなったため、新民法施行までの間、応急的な措置として、家督相続に関する効力を停止するために制定されたもの。よって、昭和22年5月3日から昭和22年12月31日までの間に相続が発生した場合は、この応急措置法が適用されることで「家督相続」に関する規定は排除されて、相続人・相続分、遺留分については、新民法と同じ規定が規定されました。

 

今回、「民法附則25条2項の規定」が適用される相続をはじめて見ました✿

改正されていく部分にしっかり対応していくことはもちろんですが、現行法以前の法律についてもしっかり押さえておかなければいけないなと改めて感じております ⦿-⦿

 

 

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