◇相続人へ「遺贈する」と書かれた遺言の登記原因について◇

たとえば、遺言によって不動産を相続人である妻へ相続させたい場合、

 

「遺言者は、遺言者の有する次の不動産を妻〇〇〇〇(生年月日)に相続させる。」

 

というように、「相続させる」という文言を使用します…✍

 

司法書士や弁護士に相談して作成した場合や、公証役場で作成する公正証書遺言であれば、当然上記のように作成しているはずです。

 

しかし、遺言者ご自身が作成した自筆証書遺言の場合、相続人に「遺贈する」や「贈与する」といった文言を使用して作成されていることがあります・・💦

 

もちろん、遺贈や贈与といった文言で作成されていたからといって、遺言の内容が無効になるということはありません。

ただし、この場合は不動産の名義を変更するための登記原因が「相続」ではなく「遺贈」になります。

 

少し専門的な話になってしまうかもしれませんが・・

相続登記と遺贈登記では、主に登記原因申請形態添付書類登録免許税等に違いがあります☝

 

通常、遺言による相続登記の場合、「相続」を原因として所有権移転登記をし、不動産を相続した相続人が単独で登記申請することができます。

 

ところが、遺言で遺贈や贈与という表現が使用されている場合は、たとえ相続人への名義変更であっても、「相続」ではなく「遺贈」を登記原因として所有権移転登記をすることとなり、受遺者となる相続人と遺言者(遺贈者)の相続人全員(もしくは遺言執行者)との共同申請になります。

 

共同申請になるということは、他の相続人や遺言執行者の協力を得なければ登記することができず、また通常の相続登記であれば添付の必要のない被相続人の権利書も必要になってしまいます。

 

ただ、登記にかかる登録免許税については、受遺者が相続人である場合は受遺者が相続人であることを証明する戸籍謄本等を提出すれば、相続の場合と同じ固定資産評価額の1000分の4でOKなので、登記原因が「遺贈」であるからといって余計に登録免許税がかかることはありません。

(なお、遺贈の場合は、通常固定資産評価額の1000分の20の登録免許税がかかります。)

 

今回のような例以外にも、たとえば不動産の表示が間違っている、もしくは不十分で特定できずに法務局でストップしてしまったり追加資料を徴求されたりで、登記完了までにすごく時間がかかってしまったりすることもあります・・

 

「相続させる」、「遺贈する」

たかが数文字の違いですが、いざ登記を申請するとなるとこんなに違いが出てくる重要なポイントになります。

登録免許税に違いはないとはいえ、余計な労力や時間がかかってしまうことに変わりはないので、遺言を作成する場合はきちんと押さえておきたい部分です。

その他にも、自筆証書遺言の場合、作成する際に民法で定められた方法を守る必要もあります。

 

当事務所では、遺言書作成プランもご用意しております💡

もしこれから遺言書を作成しようとお考えの方は、お気軽にご相談くださいませ✿

 

 

 

 

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